[Z世代に着目]空前のカフェブームをどう考える?
■コロナ禍を乗り越えてきたカフェブーム
およそ3年に渡り、新型コロナウイルス感染予防対策による外出自粛の方針が飲食業界にもたらした影響は計り知れません。その最中でもカフェの人気は衰えず、今や空前のカフェブーム。特に10代~20代、いわゆるZ世代の間で流行り続けている印象があります。いつからかカフェの店内ではコーヒーや軽食を味わうだけでなく、グルーブでの会話を楽しんだり内装やスイーツの写真を熱心に撮影したりする若者たちの姿を見かけることが多くなりました。
カフェが若者たちから人気を集める理由の一つには、「写真(画像)共有型SNS (※1) 」の普及が挙げられるのではないでしょうか。以下では、主に写真共有型SNSとカフェとの関係性について触れながら、コロナ禍を乗り越えてきたカフェブームについて考えます。
■Z世代のSNS活用によるブームの拡大
写真共有型SNSの代表であるInstagramを運営するMeta社は、日本国内の月間アクティブアカウント数が2019年3月時点で3300万を突破したと発表しています (※2) 。
また、2022年度の総務省の調査データによると、年代別のInstagram利用率は10代が72.3%、20代が78.6%となっており、他の年代と比べてもZ世代の利用率が極めて高いことが分かります。
出典:総務省「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2022.8.26発表)
Instagramでは「♯旅行」のように、♯の後に投稿内容を表すキーワードを続けた“ハッシュタグ” の利用が主流です。利用者はハッシュタグを用いて自身の投稿を整理するだけでなく、興味・関心のある投稿を検索して楽しむことも出来ます。検索結果は閲覧数や“いいね”などの評価の多い人気投稿、あるいは投稿日時が最新のものをトップに表示するよう切替えも出来るようになっています。
Meta社が18〜25歳の国内Instagram利用者を対象に行った「人気のハッシュタグ」についての調査データによると、2022年11月時点で「♯カフェ巡り」が9位、「♯カフェ」が11位と、カフェ関連のハッシュタグが2つもTOP20入りしています。
出典:Meta「Instagram、Z世代の利用動向から見る2022年のトレンドを発表」(2022.12.1発表)
以上のデータや資料から、Z世代の若者たちの多くがSNSを利用してカフェ関連の情報を共有していることが分かります。2023年7月現在、Instagramで「#カフェ」と検索してみたところ、該当する投稿は2900万件以上。中でも、おしゃれな内装や見映えがするスイーツなどの“映える”写真は評価され多くの人の目に入るため、投稿者だけでなくそのカフェの人気向上にも繋がります。
テレビ番組や雑誌でもSNS映えするカフェドリンクやスイーツなどの特集が定番化され、メニューを味わうだけでなく撮影することを目的としてカフェを訪れる客層も増えています。特にZ世代の若者たちにとっては、SNS映えするかどうかという点がカフェを選ぶ際に優先度の高い条件になっているように見えます。
■カフェ経営における効果的なSNS活用
SNSを活用しているのは利用客側だけでなく、カフェ側にも言えることです。最近ではチェーン店から個人経営のカフェまで、Instagramのアカウントを所持している店舗が増えてきています。Z世代の若者たちをターゲットにするのであれば、Instagramこそ宣伝にはうってつけのツールだと言えるでしょう。
カフェの新作メニューやイベントの情報、店休日のスケジュールを共有したり、お店のInstagramアカウントをフォロー、あるいは店名をタグ付けして写真を投稿するなどの条件で割引キャンペーンを行なったりと、方法は様々です。また、24時間経過すると自動的に削除される“ストーリー”では通常の投稿よりも気軽に写真や動画を投稿出来るため、当日の予約状況や店内の様子などリアルタイムの情報を発信するのに適しています。
上記のようなSNSでの投稿に興味を持った利用客がカフェを訪れ、そしてまたSNSで情報を拡散してもらうことにより宣伝効果が生まれます。そのため、カフェ運営におけるSNS活用についても、更新頻度や“映え”がかなり重要視されるといえます。
カフェや飲食店を経営される方の中には、SNSの活用法に悩む方もいらっしゃるかもしれません。実際に福岡の人気カフェはどのようにSNS上で話題を集めているのでしょうか。たとえば、文字を象った「文字チュロス」や推しの名前を象った「推しチュロス」が話題のカフェ、おしゃれな内装にポップなドリンクメニューが映える韓国風カフェ、華やかなトロピカルカラーのドリンクを味わいつつ博多湾を一望できるカフェ、「純喫茶」と言われる昭和レトロな喫茶店など、いまの気分に合致した特徴が多く見られます。
SNS映えを活かしたカフェ経営を考えるのであれば、内装やメニューの見映えにこだわるのは勿論、そこに「推し活」や「韓国ブーム」「レトロブーム」といった昨今のZ世代間の流行や、その地域ならではの景色や体験などを取り入れることで更にSNS上での話題性が高まるのではないでしょうか。
■カフェの進展
コロナ禍の行動制限により、旅行やイベントだけでなく外食さえ思うように出来ない時期が続きました。そんな状況下でも、居酒屋やバーなど他の飲食店に比べるとカフェは利用しやすく、需要は高まったと感じます。特に学校行事や友人と遊びに出かける機会を奪われてきたZ世代の若者たちにとっては、ほんの短時間だとしてもカフェで過ごすひとときが生活の楽しみになっていたのかもしれません。
Instagramでカフェ関連のハッシュタグが人気上位に入るのも、旅行やイベント参加が難しい代わりに家では再現できないおしゃれな空間や映えるメニューを楽しみ、そこで撮影したこだわりの一枚を投稿することで思い出の記録としているからではないでしょうか。
行動制限が解除され外出機会が急増した今でも、もちろんカフェの人気に衰えは感じません。雰囲気がよくおしゃれな内装のカフェや映えるかつ美味しいメニューを提供するカフェだけではなく、動物と触れ合えるカフェやファッションブランドが運営するカフェ、人気キャラクターやアニメ・ゲームとのコラボカフェ、更にはプラネタリウムカフェや釣り堀カフェといった珍しいコンセプトのカフェなど様々に展開されています。中でもメディアで取り上げられ話題となるカフェは、SNS映えとの相性が良いものが多い印象を受けます。
カフェの多様化についてはコロナ禍以前、またSNSの普及がここまで進んでいなかった時期から見受けられたことではありますが、先に述べたようなコロナ禍におけるカフェ需要の増加も影響しているように思います。昨今、カフェを舞台に新しいスイーツブームが生まれることも多く、次に若者の間でどんなカフェが流行り話題になるかは、SNSに表れると言っても過言ではないでしょう。今や日常にすっかり浸透しつつあるSNSの存在は、昨今のカフェブームの一翼を担っているのです。
カフェとSNSの相関性について述べてきましたが、SNSは自身のお店・企業の強みや際立つ特徴をつかみ、ターゲットを設定したうえで、時流を読んでどのような切り口で発信するかが鍵となります。もちろん、我慢強く継続することがとても大切です。
SNSの運用についてお困りごとがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
※1 株式会社CINCの運営するWebマーケティング情報サイト「Keywordmap Academy」は、Instagramを「写真 (画像) 共有型SNS」に分類している。
出典:「SNS、24種類の特徴を解説~ソーシャルメディアマーケティングを始める前に~」
※2 出典:Meta 「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」(2019.6.7発表)
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TEXT BY コミュニケーションデザイン本部 S
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