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[Z世代に着目]Z世代のジェンダーフリーな美容意識とライフスタイル

Z世代のジェンダーフリーな美容意識とライフスタイル イメージ画像

昨今の美容についての変化

外出前のメイクや就寝前のスキンケアをこなし、休日には脱毛サロンやネイルサロンへ足を運ぶ…「美容に時間やお金を費やすのは女性だけ」というイメージは、過去のものになりつつあります。世間で活躍する俳優やアイドルは男女を問わず美容のためのルーティンについて話し、雑誌やSNS上で紹介されるメイクやスキンケア方法の対象も女性に限りません。実際にメンズメイクの紹介動画を目にしたことがありますが、女性である私よりも丁寧なベースメイクの手順に驚いた覚えがあります。

Z世代とジェンダーフリーの価値観

以下のグラフは、化粧品原料などを製造する丸善製薬株式会社が「男性の美容意識」の特徴を検証するために、10代から50代の男女を対象に実施したインターネットアンケート調査の結果です(※1)。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

『Z世代から団塊ジュニアまで、比べて検証!「男性の美容意識」に関する調査を実施』図(1) 一次調査⑴ 設問:あなたは自分の髪型や体型、肌状態などの「外見」を良くすることや、若々しさを維持することに対して関心はありますか? 結果:「ある」「どちらかと言えばある」と回答した方は、男性では10代が最も高く6割強となったが、20代以降においても5割強となっており、世代間のバラつきが比較的少ない傾向が見られた。一方、男女比較では各年代において、「ある」「どちらかと言えばある」と回答した男性の割合は、女性よりも2割から2.5割程度少ないことが確認された。
『Z世代から団塊ジュニアまで、比べて検証!「男性の美容意識」に関する調査を実施』図(2) 一次調査⑵ 設問:あなたは普段、顔への化粧水やクリームの塗布といったスキンケアやファンデーションなどのメイクをしていますか? 結果:【スキンケア】男性において、スキンケアを「日常的にしている」「毎日ではないが定期的にしている」「特別な時・・に行う」と回答した方の割合は、10代から30代では5割から6割程度となった。その割合は年齢が進むにつれ、スキンケアを日常的/定期的に行う方の割合は増加傾向を示した。

※1 出典:PR TIMES『Z世代から団塊ジュニアまで、比べて検証!「男性の美容意識」に関する調査を実施』(丸善製薬株式会社調査、2022年発表)

男性の中で、「外見を良くする」や「若々しさを維持する」ということに関心を持つ人の割合は、どの世代でも半数を超えており、世代ごとの大きな差はありません。しかし、「スキンケアやメイクを日常的、定期的に行っている」男性の割合が半数近くに達しているのは、10代から20代のZ世代のみです。

30代から50代の男性については、無意識的に「スキンケアやメイクは女性が行うこと」と考える人が多いのではないでしょうか。また、スキンケアやメイクに関心があったとしても、その選択肢を取ることが難しかったのかもしれません。メンズ専用の化粧用品が広く紹介されたり、化粧用品の広告に男性タレントが起用されたりし始めたのはつい最近のことです。それまでの化粧用品は社会的な女性イメージに合わせて作られ、女性向けを前提としたものがほとんどだったように思います。


Z世代の美容意識、そしてそれに伴うライフスタイルからは「ジェンダーフリー」の価値観が感じられます。ジェンダーフリーとは、例えば「男性が働き、女性は家事を行うべき」といった社会的性別イメージにとらわれず、個人の意思で自由に行動や発言、選択していくという考え方を指します (※2)。一度定着したイメージから脱却することは容易ではなく、それが社会的なものとなれば尚更です。Z世代の美容意識に新しい変化をもたらしたきっかけは、一体何なのでしょうか。                                                                                                               

多様なロールモデルの存在

Z世代の美容意識に大きな影響を与えているものとして、

  • SNS上のインフルエンサーの存在
  • 韓国アイドルブーム

などが挙げられるのではないでしょうか。

以下のグラフは、日本インフォメーション株式会社がZ世代の価値観や生活実態の研究を目的とし、16~49歳の男女を対象に幅広い項目に関する意識や行動について聴取したインターネットリサーチの結果です(※3)。

「Z世代のイマ~新たな美意識と推し活・オタ活編~」図 画像 ※【美意識について】「あてはまる」項目より抜粋 Z世代の女性ではほぼ半数近く、Z世代の男性でも最大2割近くの人が、「見た目で目標にしている人がいる」「SNSで美容の情報をよく見る」「YouTubeで美容の情報をよくみる」「フォローしている美容系インスタグラマー、美容系YouTuber等がいる」「韓国コスメが好き」と答えている。

※3 出典:日本インフォメーション株式会社「Z世代のイマ~新たな美意識と推し活・オタ活編~」(2022年発表)

「SNSで美容の情報をよく見る」「フォローしている美容系インスタグラマーや美容系YouTuberなどがいる」「韓国コスメが好き」といった項目について、男性の割合はそれほど高くありませんが、Y世代からZ世代にかけて増加していることが分かります。また、Z世代の女性の割合についてはほぼ半数に達しています。


今やZ世代の日常の一部であるSNSは、テレビやラジオ、新聞や雑誌などの従来のメディアと異なり、個々のユーザーの考えや感情が反映されます。社会に定着していない新しい物事や考え方でも、「良いな」「素敵だな」と感じるユーザーが多ければ、その情報は広まっていきます。特に、InstagramやYouTubeなどで多くのフォロワーを有する”インフルエンサー”と呼ばれる人々が発信する情報は、社会全体に大きな影響を与えることがあります。
Z世代の若者たちにとって、憧れている美容系インフルエンサーの発信する情報であれば、これまでの社会的性別イメージに沿っているかどうかは大した問題ではないのかもしれません。それよりも、「憧れの人のように自分も外見を磨きたい」という気持ちの方が大きく、そのために必要な情報を求め、自身の生活に取り入れているのではないでしょうか。


 また、最近では美容の話題といえば、真っ先に浮かぶのが韓国コスメ。私も友人に勧められてから、その絶妙な色味や発色の良さが気に入り韓国コスメを愛用しています。今ではネットやデパートの化粧品売り場だけでなく、薬局やコンビニなど身近な場所でも手軽に購入できるようになりました。この人気の背後には、やはり”韓国アイドル”ブームの影響が大きいでしょう。

Z総研がティーン向けメディア「Nom de plume」の読者を中心に行った『Z世代が選ぶ2023年上半期トレンドランキング』において、「流行ったアイドル」部門では、2位にTWICE、4位にIVE、6位にNewJeans、7位にLE SSERAFIM、10位にBTSなど、トップ10のうち半数を韓国アイドルが占めています(※3)。韓国アイドルは女性だけでなく、男性アイドルのメイクも印象的です。ベースメイクで肌を綺麗に仕上げるだけでなく、アイメイクやリップメイクもしっかりと施されています。SNSでも韓国アイドル風メイクの方法や韓国コスメの紹介動画が多く見られます。                                              

メンズコスメ イメージ画像(男性)
コスメの紹介動画 イメージ画像(女性)

ジェンダーフリーな美容意識やライフスタイルがZ世代間で抵抗なく受け入れられているのは、上記で述べたような“ロールモデル”の存在による影響が大きいのではないでしょうか。「男性らしさ」、「女性らしさ」という基準よりも、自分が魅力を感じたロールモデルに近づきたい、という憧れがZ世代の美容意識やライフスタイルを形作っているのかもしれません。デジタルネイティブであるZ世代は、このように憧れの人から影響を受けるだけでなく、自身もInstagramやTikTokなどで活発に発信するなど発信力が高いのが特徴です。SNS上で、ごく自然に多様性を尊重したり共感したりしながら、自己表現を磨き、発信しているのでしょう。


こうした特徴をもつZ世代を対象とした商品やサービスのマーケティングは、Z世代の上の代に当たるY世代(1981〜1996年生まれ)やそれ以前の世代と同じ手法ではうまくいきません。Z世代の価値観や行動特性、ニーズを把握して戦略を練り、コミュニケーションを展開することが重要です。朝日広告社では世代を意識した効果的なマーケティングをサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。


※2 参考:カオナビ「【行き過ぎ?】ジェンダーフリーとは? 取組、問題点」(2022年発表)

※3 出典:PR TIMES「『Z世代が選ぶ2023年上半期トレンドランキング』をZ                                                               総研が発表!」 (株式会社N.D.Promotion調査、2023年発表)

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TEXT BY コミュニケーションデザイン本部 S

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