それでも動画を観て欲しい。いかにしてタイパと言う名の壁を越えることが出来るか?
本当に長い動画は観られなくなったのか?
何故、以前ほど動画視聴をしないのか?
タイパ行動の影響とは?
長い動画は観られないけれど、短い動画を観ることが出来るのならば、それを逆手に取ればいい。
■本当に長い動画は観られなくなったのか?
大手検索サイトで「長い動画」と入力すると、サジェストの上位に「長い動画 見ない」と続きます。そのワードから検索表示されるウェブページのタイトルによく見られるのは『若い世代』『長時間の動画を観ない』『長い動画が苦手』などが多く、動画の長時間視聴を避ける傾向にあるという記事が並びます。
ウェブ検索だけでなく、ニュース番組やバラエティ番組の街頭インタビューでも度々『長時間動画を観ない若者』が取り上げられるので、一度は観たことがあるかもしれません。毎日の生活の中でそういった話題を度々目にするという事は、長時間動画を観ない・観られない人達は自分で考えるよりも多いのでしょう。
■何故、以前ほど動画視聴をしないのか?
考えられる理由として、スマホ集中世代の長時間動画、映画離れが上げられます。
スマホ集中世代とはいわゆるZ世代。
その彼・彼女たちの情報源は、手軽に見る事の出来るショート動画が多いようです。長短取り交ぜた動画の中でも、特にアプリ内にショート動画が溢れる中、Z世代はその中から自然に取捨選択をしながら情報収集をしています。
■タイパ行動の影響とは?
『Z世代はショート動画しか観ない』とは、キャッチ―であるがゆえに取沙汰されますが、実はこの現象はZ世代に限った事ではありません。
若年層だけでなく、年齢性別問わず長時間視聴は避けられる傾向にあります。
その理由のひとつが、タイムパフォーマンス(タイパ)です。 性・年代問わず「倍速再生」が最もメジャーで、若者ほどその傾向が強く、「ショート動画」は女性・若い世代ほどよく視聴し、特に20代女性が顕著と言う調査結果もあります。
出典:三菱UFJ信託銀行×株式会社ヴァリューズ共同研究調査「タイパ実態調査」 (2023年2月)
また、Z世代に限らずタイパ行動が重視されているのは、ながら見などの視聴姿勢が当たり前になっているからではないでしょうか。
とにかく観たい映像、観なければならない映像が溢れているので、話題について行くためには効率良くコンテンツを観る必要があるのです。
出典:SHIBUYA109 lab.「Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査」 (2022年7月)
もう一つ考えられる理由として、情報収集のための動画視聴だけでなく、映画やドラマを観る時も倍速再生なのは、集中力の問題だけではなく、時間を確保するのが難しいからだとも考えられます。話題の映画やドラマを観たいけど翌日の為に体力を温存したい、年齢が上がればテレビやパソコン・スマホの画面をじっと観続けるのは辛いからと敬遠する向きもあるかもしれません。
それでも、どうしても映画や動画を観たい人達の選択が倍速視聴なのでしょう。
ショート動画は変わらず人気であるし、15秒ほどの動画は繰り返し再生され、何万回もの反応を得ています。それはつまり、映画やドラマを含む長時間動画に興味のない人間が増えたのではなく、自由になる時間が少ないのが理由であると考えられないでしょうか。
出典:三菱UFJ信託銀行×株式会社ヴァリューズ共同研究調査「タイパ実態調査」 (2023年2月)
タイパ行動をとる理由について「時間が勿体ない」「より多くのコンテンツを視聴したい」という回答はいずれの年代にも共通していました。
30代は「共働き・育児で忙しい」という人が多く、50代では「介護で忙しい」という声もあります。
出典:三菱UFJ信託銀行×株式会社ヴァリューズ共同研究調査「タイパ実態調査」 (2023年2月)
また、若年層ほど、心身の休養のための「1人でゆっくり過ごす時間」と「睡眠時間」を重視 することも理由として挙げられます。
『タイパ』の概念自体は新しいものではなく、どのように日々の効率化を図るかはどの世代にも通ずるテーマだと考えられます。
■長い動画は観られないけれど、短い動画を観ることが出来るのならば、それを逆手に取ればいい。
現在、世代に関係なく多くの人が長時間動画は観ない、というのが世間の認識の様です。
じっくりと腰を据えてスマホやタブレット、パソコンに向かう時間が無い事も原因の一つとしてあります。タイパ行動は限られた自由時間を最大限に有効活用するために確立されたライフハックです。
ショート動画は流行や最新情報を収集するのにはうってつけのコンテンツでもあります。
短い時間の中に情報がぎゅっと凝縮されているものから、さらりと触れるものまで千差万別です。
しかし、長時間動画の中には皆に気付かれていないだけで、一度でも観てもらうことが出来たならば大いに盛り上がるものも数多くあるはずです。その魅力に気付いていないのは実にもったいない事だと感じます。
長ければいいというものでもないのが動画の難しい所です。そこで誰もが考える事は『長時間動画が歓迎されないのならば、あえて倍速視聴に対応した動画を増やせばいい』といった所ではないでしょうか。そうすればタイパ重視の層にも、または長時間動画を観るのが苦ではなくむしろ好ましいと思う層にも、win-winな動画になると考えられます。 まずは気に留めて貰う所から始まるので、内容の選定がかなり重要になります。理想は初見でインパクトを与えるタイトルとサムネイル、そして動画の内容ですが、そうそう簡単に作る事は出来ません。サムネイルに関しては『え?何これ?中身が気になる!』と思わせることが必須です。勿論サムネイル詐欺にならないよう十分気を付けなければならなりませんが。
一つの動画をとっても、考えるべきことは多いのです。趣味の動画を独学で制作する人達は多いですが、やはりプロによるしっかりとしたバックアップがあればクオリティは格段に上がります。
「ターゲットが見たくなる動画」その手伝いを出来ればこんなに嬉しい事はないので、是非とも気軽に相談をして下さい。
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TEXT BY コミュニケーションデザイン本部 M
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